平成20年度研究成果

1. 目的

平成19年度の研究では、対岸進出企業へのヒアリング等により進出企業の実態と進出地域戦略の関係が明らかになった。また、東アジア地域でも特に中国東北部、ロシア極東といった北陸と関連の深い地域では、今後も成長が見込まれ、企業は第一次産業を輸出の武器としていく動きも見られる。これらの動きは、北東アジア地域との経済連携に関わる人の裾野が広がったと言える。

平成20年度は“物流”をテーマとし、北陸地域でも特に新潟県を焦点に対岸地域との経済連携策について考察する。

2. 調査研究の方法

下記5項目を柱とし、統計調査、現地調査、関係機関ヒアリングなどで調査を実施した。

  • 新潟県における物流と貿易企業の実態
  • ロシア・中国における物流実態調査
  • 北東アジアの経済と貿易
  • 新潟県の産業経済
  • 新潟県の国際インフラ整備状況

3. 研究の結果(概要)

北東アジアにおける進出・貿易の課題

(1)新潟港の使い勝手

  • コンテナヤードの奥行き不足などレイアウトを含めたハード面に問題。
  • 貨物の集荷、東京・横浜港と比べたコスト高が課題。

(2)対中国貿易

  • 天津:北京を含む後背地の地域産業集積の研究(機械系)が必要。
  • 青島:食品は新規立地がほぼストップ。食品加工のための物流会社が整っている。
  • 機械系なら天津が優位。食品は高付加価値化への対応、トレーサビリティの確立など、進出の障壁が高まっている。

(3)対ロシア貿易

  • 沿海地方には産業がなく、出す貨物がないことも料金割高の原因。
  • 農産物・食品輸出の場合、ウラジオストク港が優位であるが、自動車など機械系は別の港湾活用が優位。

行政・経済団体への提言

  • 新潟港利用のPRと誤解(便が少ない、冬季不安定)解消の取り組み。
  • LCL(小口輸送)の集荷量増加へのインセンティブ
  • 競争活力や民間活力を取り入れる施策(フォワーダーによる港湾マネジメントモデル)
  • ロシア-日本の分業化による空コンテナ解消
  • 北東アジアフェリー(三角航路)のメリットによる広範な経済連携構想
  • 航路・空路の開設を念頭に対岸相手先の産業構造のマッチング調査
  • 保税物流園区などを活用したビジネスモデル
  • 貿易手続きの課題解決に向けた、当該国地方政府や日本政府との連携

企業への提言

対中国ビジネス
予期せぬリスクに備え、製品の高付加価値化への取り組み
生産・流通期間を考えた生産体制の構築
食品産業におけるトレーサビリティの確立
港湾・空港の自然条件や物流業者の見極め
対ロシアビジネス
海運と鉄道のメリットとデメリット(対モスクワ、ヨーロッパ方面)
農産物の販路確保やPR
フォワーダーの選定と交渉
輸送モード多様化に伴う工夫