プロジェクトⅡ「北陸地域の自立に向けた方策の調査研究」第3回全体会議 議事
- 日 時:平成21年12月1日(火) 13:10~15:10
- 場 所:ホテルハイマート3F「春日の間」
出席者:
- 共同研究者
- 信州大学教育学部 教授 石澤 孝
- 福井大学工学部 教授 川上洋司
- (財)北陸経済研究所 地域開発調査部担当部長 酒井 毅
- (財)地域振興研究所 理事 谷本 亙
- (財)新潟経済社会リサーチセンター 調査部長 梅崎治夫
- 事務局
- (財)北陸経済研究所 桐木 均
- (社)北陸建設弘済会 須田敦司、玉木賢治、佐藤駿太郎
資料:次第、出席者名簿
- 資料1 2009年度プロジェクトⅡ・検討計画(案)
- 資料2 プロジェクトⅡ現地調査結果概要 資料1-1、1-2、2
- 資料3 プロジェクトⅡ第3回会議資料
- 資料4 報告書構成案
- 資料5 報告書の執筆について
- 資料6 報告書第1章イメージ
- 参考資料 現地調査全文
【要旨】
- ヒアリング調査結果について報告し、調査内容・意見等を報告書作成時に参考にすることとする。
- 報告書構成案、共同研究者の原稿執筆について概ね了承を得る。
- 報告書作成に際しては、検討において出された意見を参考とする。
- 都市の機能・構造:指標に人口を使用することが多いが、行政市・DID・都市圏等いずれが実態をより表しているか十分検討する。
- 公共交通・交通インフラ:今後の方向性を考える上では、利用者特性、地域での位置付け等を十分考慮する。
- 経済で見た自立:指標に県際収支を使用することが多いが、自立とみなす基準、地域の事情等を十分考慮する。
- 人づくり・人材育成、雇用・定住促進:地域の自立の要件であることを踏まえ、ものづくり産業の振興をはじめ、地域に相応しい実現方策を検討する。
1. 現地調査報告
事務局より調査結果について説明。
(意見・指摘等)
中海・宍道湖経済圏について
- 中海・宍道湖経済圏は自然発生的に生まれた圏域だが、今では行政もその活性化・連携に参画している。
- 中海は、かつて新産業都市に指定された地域で、県境を越えた連携のルーツはそのあたりにあるのではないか。境港振興の取り組みがなされているほか、産業では金属・製紙も立地している。商工会のつながりは50年前からあるというが、そのとき以来の関係が構築されているのではないか。
- (財)ちゅうごく産業創造センターが中国地方(山陽・山陰)の調査プロジェクトを毎年実施しているが、この数年間は中海地域での実施が多いことから、中国地方での地域振興のポイントなのではないか。
- 米子は産業・商業の集積もさほどではなく市街地も活気があるわけではないが人口は減っていない。鉄道管理局があったこと、交通の要衝であること、今はコンベンションセンターがありコンベンションの誘致を通じて地域に落ちるお金が大きいのが理由なのではないか。
東瀬戸経済圏について
- 東瀬戸経済圏の各都市の成長が見られ、必ずしも岡山市が中心になろうとしているのではないと感じられる。
- 岡山市が将来道州制で州都になろうとする意思もないわけではないようだが、それは四国と中国地方とを一体化させた場合なのではないか。
三遠南信について
- 報告で南信のほかに「南信州」とあるが、このような用語は使われているのか。(事務局註:「三遠南信地域連携ビジョン」に「南信州地域」とあり。)
- 三遠南信の連携構想は賛同が得られており各プロジェクトの計画もあるが、実際の体制構築は高速道路整備を除いては進んでいない。そのため、人為的につくられた連携構想のように見える。
- 名古屋の吸引力に引き寄せられている面があるのではないか。
報告書とりまとめにおいて参考とする。
2. 調査報告書の構成~報告書の執筆について
事務局より報告書構成案、3年間の活動の総括となる提言を盛り込むとの計画を説明。
報告書原稿の執筆について、共同研究者にテーマを例示した上で依頼。原稿はコラムの形で報告書に掲載することも考えていることを説明。
(意見・指摘等)
- 特になし
報告書構成案について概ね了承を得る。なお、3. における意見も参考とする。
共同研究者の原稿執筆について概ね了承を得る。なお、テーマ・内容等は一例であり、実際の原稿は必ずしもこれに沿う必要はない。
3. 携をふまえた北陸・北信越の将来像について
事務局作成の検討資料に沿って検討。
(意見・指摘等)
都市の機能・構造について
- 資料3にて、都市規模を示すために人口が出ているが、市町村合併を考慮しDID人口も併記していると思われる。ただ、新たに加わった市町村を除いた中心部のDIDで比較する見方もあると思う。また、必ずしも市町村人口に比例し都市機能が充実するわけではなく、長野市は合併で人口38万人になったが、都市機能は20万人都市のままである。
- 都市機能は合併により集積が進むわけではなく、特に県庁所在都市では規模の大小にかかわらず機能の種類にあまり相違はない(例:金沢市と福井市は人口差はあるが集積内容は大差ない)。だが、今後はこれまでと異なり、各都市がどのような機能を持つかを考えていくようになるのではないか。
- 都市の機能分担に関しては、例えば富山・石川・福井で広域連携した場合に、どこに統括機能を置くかによって今の都市のあり方も変わるのではないか。そうした場合、合併前の都市機能の規模を示す指標が必要なのではないか。
- その指標となるのは結局人口だと思うが、行政市(当該の市単独)か都市圏で見るかでそれは異なる。
- 旧新潟市の都市圏の範囲は合併した市町村とほぼ同じであるが、完全に一致してはいない。
- 都市の中心性は、都市圏ごとの地域構造の相違によりその程度も異なる。また、都市を比較するとき、中心都市としての観点と当該の都市圏内での中心性としての観点がある。
- 都市圏の規模が大きくなれば中心都市の機能も集積・向上する傾向はあるが例外も見られるし、それは中心部を行政市、DID、または別のエリアのいずれでとらえるかによっても左右される。何をもって都市の中心部とみなすかは議論の余地があるので、都市圏についても明確に決められるものではないのではないか。
公共交通・交通インフラ
- 北陸新幹線をめぐる動きを見ると、各県の考え方がよく出ている。石川県が福井県とともに敦賀延伸の立場を取るのは、未着工区間に小松等を含むからである。富山県は並行在来線や駅高架化による富山ライトレールと地鉄市内線接続といった次のステップに目が向いている。北陸各県は開業に向けた対応を考えているのに対し、新潟県は「2014年問題」によるサービス低下やほくほく線の存続を懸念している状態である。
- 自分の地域だけを振興させようとしても無理である。北陸新幹線を上手く使えば地域をまとめていけるのだが、現実はそうではない。
- 長野電鉄屋代線の利用について尋ねると、住民は「利用しない」と答える。長野市へ向かうのに便利ではないが、この点はどう考えればよいのか。
- (上記について)「住民」というが、利用者は誰であり、その人やその家族の声は入っているのか。そうでないのに、住民といえばそれが多数の意見とみなされる形になってしまうのではないか。京福電鉄が休止されたときも廃止やむなしの意見が多数だったが、PTAや通学する子を持つ人の意見が出て論調は変わっていった。利用者の属性、つまり量ではなく質の問題である。
- 地域のコスト負担余力、代替交通等を比較検討しないといけないが、意見だけで安易に不要という判断をするのはどうか。福井県は京福電鉄の経験があるので、福井鉄道福武線の名鉄撤退のときも廃線という選択肢はなかった。同線は北陸線と並行しており起終点も同一なのだが、途中駅が4駅で都市間交通である北陸線に対し、途中十数駅を擁する福武線は都市内交通であるという性格の相違があることで存続の理解が得られた。
- 長野電鉄は既に木島線を廃止しているし、コンサルタント会社の実施したアンケート結果が出てくれば、屋代線も廃止の方向に向かうのではないか。長野以北の並行在来線やほくほく線についてもいずれアンケートの結果が出てくるだろうが、客観性・公平性の点で注意が必要である。いずれにしても、北陸地域の自立を考えるときに、十分な議論が必要である。
経済で見た自立
- 地域の自立には経済的自立が重要であることは分かるが、例えば県際収支は、ものづくりの産業の存在を考えれば富山県・福井県は良いが石川県はそうではないので、自立の要件を今までと同じように考えて良いのだろうかと感じる。
- 地域として成り立っていくためには、まずそれなりの経済基盤が必要で、その上で文化や生きがい等いろいろな要素が必要になるのではないか。これまでは、地域政策を考える際に経済的な視点があまり入っていなかったと思う。実際のところ、地方では工業と原子力発電があると県際収支は黒字となることが多い。
人づくり・人材育成、雇用・定住促進
- 例えば大学に工学系の各分野の学科があっても、地方にその全卒業者の専門分野を活かせる企業は存在せず、その問題の解消も困難である。そのため、卒業後は他県に行かざるを得ないが能力を活かす点で言えば、そのほうが地方にとどまるより好ましい。
- 個々の学生が持つ専門的能力を活かすことができる場所は、全国的に見れば必ずあるのではないか。産業構造も今までのように製造業一本で中身はひとつだけということではない。医薬品会社でも、薬剤師のほか工学部・医学部出身者や電子技術関連等の知識を持つ人材が必要となっている。ところが、学生のほうは自らの能力・技術をそこで活かせるという発想・認識がないままにいる。
- 国土形成計画では、地域における産業の位置付けが極めて重要視されている。策定時期がリーマンショックと重なった影響もあると思う。ものづくりが地域振興のベースになることは間違いなく、ものづくり自体の変化や情報分野の重視等もあるとはいえ、中部圏の計画は「ものづくり」が明記されており、ものづくりによる外貨獲得という発想が強いのではないか。
- 今の産学官連携の仕組みはやや画一的になっている。中には成果が出始めているものもあるので、もう少しフレキシブルに考えても良いのではないかと感じている。地域の産業振興にも産学官連携は必要である。
- 構成案にある提案項目の中で「環境」とあるのは環境問題という意味合いが強いのではないか。生活環境についての記述が必要ではないか。
- 人づくりも自立の一要素であると思うので、項目として必要なのではないか。県を越えた人口移動を見ると若年層では職業が理由であることが多くなっており、要因としては①賃金、②雇用量(受け皿)、③雇用の多様性が挙げられる。③に関しては雇用需要と希望職種のミスマッチが起こったとき、1県では対応が困難なことがある。そのため、地域の産業の底上げを図り、隣接県も含めて多様性を生み出し、偏りを解消できればよい。全国展開している企業を誘致する方策もあるが、雇用量は増やせても多様性は生まれない。
- 北陸は、他地域と比較すると内発的な産業があるほうである。誘致企業に対する依存は相対的に低い。
- 近年の傾向として、京都や大阪、名古屋などから福井に来て、住みやすさを気に入ったからとそのまま福井に住みつく学生がいる。数の上では少ないが、昔のように修めた分野で働くという傾向から変化が見られる。就職先の多様性があれば、Uターンで帰ってくる動きも出てくるのではないか。
- 東京への集中は、かつて東北出身者がその多くを占めていたが今は全国からという状態である。その理由はモビリティ・移動のし易さの向上があるのではないか。例えば、新幹線があれば何かあっても帰ってこられるからと、地元ではなく東京での就職が増えた事例がある。
- 東京と地方に限らず、地域間の移動時間短縮で居住地の選択の幅が広がることが、地域間競争につながっているのではないか。そして、人が移動する要因の④として、住みよさを挙げられるのではないか。
4. 第4回会議について
日程は1月下旬から2月中旬とし、調整はメールにて行う。












