平成20年度研究成果

1. 目的

「新たな公」による北陸の地域づくりの在り方を検討するために、全国で取り組まれている事例を検証し、「新たな公」による取り組みが有効な領域・分野・活動や進め方、必要な資源(人的、金銭的)、継続の方法を検討する。

また、北陸の地域づくりには、避けて通れない雪国の課題を通して、雪国における「新たな公」への提言を行なうものである。

調査の背景

少子高齢化・人口減少

  1. コミュニティ・ネットワークによる相互扶助の見直し
  2. 「官」の役割の見直し

2. 調査研究の方法

各委員が具体的事例を紹介して、「新たな公」を類型化し、有効な領域、システムを検討した。

有効な領域

「新たな公」の領域 「新たな公」の事例
①従来は「官」が主に行っていたが、「民」にも開放され競合するようになっていく領域
  • スノーエリアマネジメント白山
  • 中越地震被災地の地域復興支援員
②「民」が発展・成長し、公の側面を持ってくることになる領域
  • 越後雪かき道場
  • 阿蘇の野焼き支援ボランティア
③新たな社会課題として、「官」と「民」が手を携えて対応しなければならない領域
  • 地域で支える雪対策事業
  • 到津の森公園
  • シーニックバイウェイ北海道
  • クローバーバス

分類化

研究の結果(概要)

「新たな公」による活動のポイントを検討するとともに、北陸の課題の1つでもある雪問題に対して「新たな公」を用いる有効なテーマであることを示し、雪国における「新たな公」への提言をまとめた。

①活動のプロセスと進め方

第一段階 立ち上げ期
仕組みや活動組織を形成・確立する時期(起業、事業開発)
課題・ニーズの顕在化(発見)
「課題・ニーズ」と「やりたい(取り組み・人)」のマッチング
取り組む意欲・思いの共有(機運の形成)
主体の形成 ⇒ 運営組織の確立
活動情報や問題意識を常に共有・参加できる機会を提供
第二段階 展開期
活動を継続的に進めていく時期(運営、マネジメント)
人材の育成
安定的な運営資金の調達
協働のネットワークの拡大
活動や組織、住民や関係者の状況や動向のウォッチング
絶えず見直し・改善を行い、新たな可能性を探る

②活動や組織の形成、推進役の設定

⇒住民をはじめ多様な主体を巻き込んでいくコーディネーター役の役割が大きい。

③地域リーダーの条件や資質、養成方法

⇒推進役(地域リーダー)に共通するものとして、「若者、よそ者、馬鹿者」

④人材の確保・育成、外部の人たちとの連携・活用

⇒確保・育成する人材は、1.地域の人たち 2.地域外の人たちで、中山間地は2を活用

⑤住民と行政、支援者、中間組織の役割分担

⇒「官」と「民」が、対立でも上下関係でもなく、パートナーの関係で対話と協働を進めていく。

⑥資金調達の方法

⇒1.行政からの支援 2.会費や事業収入 3.寄付金・協賛金等 の3つが中心

雪国における「新たな公」への提言

雪国では通行する人を守るために「雁木(がんぎ)」を整備したり、集落内の除雪を共同で行なったり、高齢世帯の雪かきを代行・助け合うといったことが古くから行なわれてきた。つまり官に頼ることなく、地域の暮らしや安全を支える仕組みを持っていたので雪国の地域づくりとは、「新たな公」による取り組みが行いやすい題材だといえる。

ただし雪対策施設や除雪など、「官」が行うことに慣れていたことから、関心はあるが誰かが(行政が)やってくれるだろうという、住民や地域社会の中に行動の壁を打破しながら、雪国の新しい地域づくりを進めるために、以下の5つの提言を行う。

  1. 自分の生命・財産を守るのは自分。行政をあてにせず自ら動く。
  2. 1人ではできなくても仲間がいればできる。仲間はどこにでもいる。
  3. 大学には知恵と若い力がある。よそ者・若者と連携・活用する。
  4. 雪は資源。地域外の人たちとの交流から魅力と可能性を発見する。
  5. 雪国は日本の最先端。「新たな公」の取り組みが日本を変える。