本研究は、調査研究対象地域を選定しアクションリサーチを実施しながら、「地域経営」という視点に立ち、中山間地の活性化・課題解決していくためのヒト、モノ、カネの循環をキーワードとして新たな地域システムのあり方を提言するものである。

平成22年度研究成果

1. 研究テーマ、内容

北陸地域の中から地域通貨導入に向けたモデル地域を選定し、住民との協議を重ねながら地域が抱える課題を特定し、地域の実情に即した地域通貨導入のための具体的方策を検証する。

そのために必要な「地域の現状調査」「地域住民との協議」、「地域住民への地域通貨の学習・理解度向上のための手法」等のアクションリサーチを実施する。

これらの調査を元に中山間地域における活性化策の実現を踏まえた「川口地区をモデルとした中山間地における地域通貨を用いた地域循環・交流プラン」を研究成果としてとりまとめる。

図1 H22年度調査研究の流れ

H22年度調査研究の流れ

2. 地域の課題・資源・方向性

アクションリサーチを実施した結果、今後取り組むべき課題や活用しうる資源及び方向性についてヒントとなる要素となった。

<地域課題>

  • 高齢化に伴う孤独の解消
  • 地域づくりへの新しい若い人の参画
  • 地域づくり団体間、集落間の連携強化
  • 地区全体としての情報発信力の強化
  • 若い人が定住できる就労の機会づくり etc

<地域資源>

  • 豊かな自然
  • 多様な施設の集積(キャンプ場、コテージ、古民家、運動公園、温泉等)
  • 各集落における様々な行事・イベント

<方向性>

  • 住民自らが考え行動するための組織を立ち上げ、本調査研究を活用しながら、課題解決に向けてまずは動く。

3. 「川口地区をモデルとした中山間地における地域通貨を用いた地域循環・交流プラン」

(1) 地域通貨の方法・方式

方向性1

住民にとって使いやすいという点から見て紙幣方式が望ましいと考えられる。ただし,紙幣方式の欠点として流通経路を把握することの難しさが挙げられる。将来的には電子マネーでの利用が望ましい。

方向性2

高齢者が多く居住する中山間地があり、電子化・IC化を前提とした「地域通貨」の導入は難しいと考えられるが、「地域通貨」の発行や利用に際して発行される「ポイント経済」を楽しむという利用者側の行動特性を考慮すれば、何らかの「ポイント経済」の仕組みを取り入れることが望ましい。

(2) 地域通貨を用いた地域循環・交流モデルの構築

地域に適合した地域通貨の流通デザイン

地域通貨発行の拠点として、中越地震メモリアル拠点として整備される「川口きずな館」,道の駅「あぐりの里」,商店街,そして復興支援員を中心としたメンバーで,発行方式や流通経路などをデザインし,地域通貨流通実験を通じて修正や流通範囲の拡大を図る。

総合的地域診断方法の開発と適用

地域通貨を用いた地域経済社会の自己診断・評価手法として「地域ドック」という考え方を導入しその手法を開発すると同時に,診断・評価結果を地域通貨の流通や地域経営体制のデザインに活用していくためのフレームワークを構築する。

地域に適合した地域経営体制のデザイン

「川口きずな館」,「あぐりの里」,商店街,各集落などのネットワークを形成し,地域資源を有効に活用しうる持続可能な地域経営体制をデザインし、地域通貨流通実験を通じて体制づくりを図る。

(3) 地域通貨を用いた地域循環・交流モデル構築ロードマップ

住民の理解を得ながら地域モデルを構築するためには、地域への説明、準備から実証実験を経て、検証を行うのに3年間の期間が必要と考えられる。実施に向けた工程は以下の通りである。

地域通貨を用いた地域循環・交流モデル構築ロードマップ

プロジェクトⅤ 中山間地の活性化策を用いた課題解決手法の調査研究 報告書